バイクのエンジンと一概にいっても様々な種類が存在します。
4ストロークや2ストローク、DOHC、OHV、4気筒、2気筒、V型、L型などなど。。
何がなんだかわからなし、その種類によって何が変わるんだ!と言いたくなりますよね。笑
今回はそんな様々な種類のエンジンについて、簡単に説明いたします!
レシプロエンジン
基本的にバイクのエンジンを大きくまとめるとこの「レシプロエンジン」となります。
レシプロとは「往復」という意味で、ピストンがシリンダーと言われる部屋の中で往復することで空気と燃料の混合気を圧縮して燃焼させることで動力を取り出しています。
4ストロークエンジン
4ストロークエンジンはレシプロエンジンの中でもピストンが4ストローク(2往復)している間に ①吸気 ②圧縮 ③燃焼 ④排気 という4つの工程を行うエンジンです。
ピストンが2往復すると連動してクランクが2回転します。
シリンダーにはスパークプラグがあり、②の圧縮工程の際に点火し③の燃焼が発生します。ピストンはこの際、一番上の上死点から燃焼による膨張エネルギーにより、下死点まで高速で往復運動します。
そして、そのエネルギーのまま上死点に戻り、排気バルブが開き④排気を行います。さらにそのまま下死点に戻る際に吸気バルブが開き①吸気を実施、次の上死点で②圧縮③燃焼と往復運動を繰り返します。
燃焼1回につき、ピストンが2往復する感じですね。
エンジンオイルはエンジン各部に圧送されています。
出展:Wikipedia
・DOHC
4ストロークエンジンが主流となり、多くのバイクでDOHCのエンジンが搭載されるようになりました。
DOHCとは「ダブルオーバーヘッドカムシャフト」の略でシリンダーの上にある排気バルブ・吸気バルブのさらに上にある2本のカムシャフトと言われる棒がそれぞれのバルブを動かす形式です。
中でもカムシャフトが直接バルブを押す「直動式」は構造が単純なのでロスが少なく、高回転エンジン向きなので、近年のスーパースポーツバイクのほとんどがDOHCになっています。
・OHC
OHCはオーバーヘッドカムシャフトの略です。
名前からも想像できるように1本のカムシャフトで吸気・排気バルブを動かすエンジンです。ですので「SOHC」シングルオーバーヘッドカムシャフトとも呼ばれることがあります。
DOHCに比べて部品数が圧倒的に少ないのでコンパクトなエンジンを作ることができます。
・OHV
OHVはオーバヘッドバルブの略です。
名前からカムシャフトが無いのかな?と思いがちですがカムシャフトはシリンダーの側面に付いています。
DOHCやOHCはカムシャフトが吸気・排気バルブの上にありましたが、これはシリンダーの横に付いているため、バルブとカムシャフトをプッシュロッドと呼ばれる棒で繋いで動かしています。
高回転エンジンではこのプッシュロッドが歪んだり、プッシュロッド自体に重さがあるので、現在ではほとんど見なくなりましたが、ハーレーなどのゆったり走る大排気量クルーザーでは採用されているものもあるようです。
2ストロークエンジン
出展:Wikipedia
4ストロークエンジンに対して、①吸気 ②圧縮 ③燃焼 ④排気 の4工程を2ストローク(1往復)で行うのがこの2ストロークエンジンです。
4ストエンジンには排気バルブと吸気バルブがありましたが、2ストではバルブはなく、シリンダーの壁面に設けられた排気、吸気、掃気ポートをピストンの動きによって開け閉めします。
【①吸気②圧縮】上死点にピストンが向かう際に掃気・排気ポートを閉めて、混合気を圧縮します。ピストンが上昇すると同時にクランクケースが負圧になるので、クランクケース内に繋がった吸気ポートから次の燃焼のための混合気が吸気されます。①吸気と②圧縮が同時に行われます。
【③燃焼】ピストンが上死点に達するとスパークプラグから点火され燃焼が行われます。燃焼による膨張でピストンは下死点に移動します。
【④排気】ピストンが下死点に移動することで、①でクランクケース内に吸気された混合気がピストン側に流入します。ピストン側にあった燃焼の終わった燃焼ガスは押し出されて排気されます。
次に上死点に戻るときにはすぐに①②の工程が行われます。
2往復で2回の燃焼が行われるために4ストロークエンジンと同じ排気量であれば、2ストの方が馬力は上になります。
しかし、2ストは4ストほど圧縮比を上げることができず、燃費が悪く、混合気にエンジンオイルを混ぜて燃焼させるため、排ガスも悪くなり、排ガス規制によって、ほとんど姿を消してしまいました。
気筒数・シリンダー配列の違い
単気筒や2気筒、4気筒。はたまた並列4気筒やV型2気筒などなど。いろいろな気筒数と配列があるエンジンですが、何が違うのでしょうか?
気筒というのはシリンダーの数のことです。
マフラーに繋がるエキゾーストパイプは気筒数ごとに分かれているので、エンジンから何本のエキパイが出てるか見ると分かりやすいですね。
排気量はシリンダー内のピストンが動く容積で決まるので、多気筒にすると同じ排気量であれば1つのシリンダーの大きさは小さく済みます。
単気筒で400ccであれば4気筒にすると1気筒あたり、100ccの大きさで済むわけです。
ピストンも小さくすることができるので、ストローク幅が短くなってスピードアップ、高回転エンジンになり、燃焼室も小さくなるので燃焼効率もアップします。
・シングルエンジン(単気筒)
出典:instagram(@bikehouse.toohip)
上記でも説明したように多気筒になれば高回転ハイパワーになる分、単気筒は非力なエンジンです。
しかし、コンパクトな分、軽量で燃費も良く製造も安く済むので、最近の小排気量バイクでは単気筒が主流になっています。
4ストロークはピストン2往復で1回の燃焼なので、爆発と爆発の感覚が空き、「ドッドッドッド」という断続的な排気音になります。
多気筒になると気筒ごとに燃焼のタイミングが違うのでこのような排気音が出なくなってしまいます。
単気筒の音は渋く落ち着いた感じなので、SRなどのオールドルックバイクには単気筒が採用されています。
・パラレルツイン(並列2気筒)
出典:instagram(@marty_snake)
こちらもオールドバイクやオールドルックのバイクによく採用されているエンジンです。
2つのシリンダーが横に2気筒なのが並列2気筒パラレルツイン、その中でもシリンダー角度が垂直になっているものをバーチカルツインと呼んだりします。
2気筒では2つのピストンが逆に動く180度クランクでは互いに振動を打ち消しあうことができます。
同じ方向に動く360度クランクでは振動が大きくなってしまうのですが、最近では逆方向に重りを(バランサー)を動かすことで振動を軽減しています。
・インラインフォー(並列4気筒)
出典:instagram(@yujiblanco)
最近のハイパワーバイクなどでは最も主流となった並列4気筒エンジン。
直列4気筒で直4と言ったりもしますが、同じです。
コストがかかるために近年では小排気量では採用されませんでしたが、カワサキがDOHC4バルブ4気筒エンジンを搭載したZX-25Rを発表して話題になりました。
高回転ハイパワーエンジンでSS、ネイキッド、ツアラーなど多くのバイクに採用されています。
排気音は燃焼と燃焼の間隔がほぼなく、継続的な音です。
・V型エンジン
その名の通り、シリンダーがV型に配置されているのがV型エンジンです。
2気筒ではVツイン、4気筒ではV4などとも呼ばれます。角度も様々でハーレーなどでは45度のVツイン、ドゥカティは90度を採用していたりします。
シリンダーヘッドが2つに分かれるため、カムシャフトなども2組必要になってきますが、エンジンの高さが抑えられコンパクトになり、重心を集中させやすく、トラクションも得やすいなど利点も多いようです。
・ボクサーツイン(水平対向式エンジン)
出典:instagram(@gs_riders_united)
水平対向エンジンは、BMWのR1200GSなどで主に採用されているエンジンです。
車体の両横に張り出すようにシリンダーが配列してあり、対面のピストンがグローブを合わせるような仕草を連想させることからボクサーツインなどとも呼ばれています。
お互いのピストンが振動を打ち消すように動くので、静寂性の高いエンジンです。
バルブ数の違い
スペック表のエンジン部分を見るとDOHC2バルブやDOHC4バルブなど、バルブ数の表記があります。
このバルブはシリンダーにある吸気バルブ、排気バルブのことです。
2バルブではシリンダー1つにつき吸気・排気バルブが1つずつの2バルブ、2本ずつある4バルブ、吸気バルブ2排気バルブ1の3バルブ、吸気バルブ3排気バルブ2の5バルブもあります。
吸気バルブが優先されるので、吸気バルブと排気バルブが同じ数の場合は吸気バルブの方が大きいです。3バルブや5バルブの場合は吸気バルブの方が小さい代わりに数が多くなっています。
バルブ数を増やすことで、吸排気口の面積が増え効率が上がるほか、バルブが小さくなることにより、高速で動かせるようになり、高回転ハイパワーエンジンではDOHC4バルブが主流になっています。
・可変バルブシステム
ホンダのCBスーフォアなどで採用されているVTEC(ブイテック)などが有名ですね。
エンジンの回転数やスロットルの開度などで作動するバルブ数が変化します
低中回転域では2バルブで低速時のゆとりのあるトルクや発進時に力強い加速できるようになります。高回転時には4バルブに切り替わり、スムーズな加速ができるエンジン出力を発揮できます。
エンジン冷却装置の違い
・空冷エンジン
名前の通り、走行時の風で冷却するのが空冷エンジンです。
シリンダーに多くの冷却フィンが付いていて、面積を増やすことで冷却性能を上げようとしているのが特徴ですね。エンジンが蛇腹のようになっているのはこの冷却フィンだったんですね。
空冷は非常にシンプルな構造なので整備も簡単、コストも安価、軽量とメリットは多いです。
しかし、エンジンの性能が上がってパワーが上がってきた現代においては発熱量も高くなり、空冷ではなかなか冷却が追い付かなくなりました。
さらに空冷エンジンは騒音規制や排ガス規制などにも対応が難しく、ほとんど姿を見なくなってしまいました。
・油冷エンジン
油冷エンジンはエンジンオイルなどを冷却媒体として使用するエンジンです。
4ストロークエンジンは必要な量のエンジンオイルがエンジン各部に循環されますが、油冷ではそれ以上に大量のエンジンオイルをシリンダーやピストンなどに散布することで熱を冷まします。
スズキが中心に油冷エンジンバイクをラインナップしていましたが、水冷と比べると冷却性能は劣っており、排ガス規制などからエンジン温度を保ちやすい水冷エンジンに変わっていきました。
・水冷エンジン
出典:instagram(@nao_nao_25)
エンジンの前方に冷却水を冷やす、ラジエターが付いているのが特徴です。
エンジン内部に冷却水が通るようになっており、冷却水によって熱を吸収させ、熱くなった冷却水をラジエターで冷やし、再びエンジンへと循環させる方式です。
外気温などにも影響されにくく、安定した冷却を行うことが可能になり、現在の高性能ハイパワーエンジンにおいては水冷エンジンが主流になりました。
まとめ
バイクのエンジンについて、簡単にまとめさせていただきました。
仕組みなどについては、画像やイラストなどの資料が少なく分かりにくくなってしまいましたが、ある程度は紹介することができたのかなと思います。
お役に立てれば幸いです。