プロボクサーになるにはどうしたらいい?年収や年齢制限はどれくらい?

近年、井上尚弥選手の世界的な活躍や那須川天心選手のボクシング転向の話もあり、プロボクシングの人気が再燃しているように思います。

実は怪我で引退してしまったんですが私も昔プロボクサーでした。

プロボクサーとして活躍するのにはどうすればよいのか?

プロボクサーの年収はどれくらいあるのか?

何歳まで現役選手として活躍できるのかなどを紹介したいと思います。

プロボクサーになるには

プロボクサーになるには一般財団法人日本ボクシングコミッション(JBC)のプロボクサー新人テストを受験しなければなりません。

キックボクシングなどは日本で様々な団体がありますが、ボクシングはJBCの1団体しかありませんので、このプロテストを受けなければプロボクサーとなることはできません。

プロテストを受験するにはボクシング協会加盟ジムに所属していなければならず、年齢は満16歳から満34歳までの男女が受験できます。

注意すべきなのはこのボクシング協会加盟ジムという点で、日本にあるボクシングジム全てが加盟しているわけではありませんので、現在ボクシングジムで練習していたとしても加盟していなければプロテストを受験することができないので注意しましょう。

プロテストは筆記テストと実技テストのスパーリング2Rを行います。

筆記テストはボクシングのルールなどから出題されます。

私の時は「人の急所を○個書きなさい」という問題があり「ストマック」「レバー」などを回答した覚えがあります。

プロテストに合格すれば「プロボクシングC級ライセンス」が発行されます。

アマチュアボクシングの戦績において、不戦勝を除き5勝以上の実績があればC級テストは免除されプロボクサーとなることが可能です。

また、アマチュアボクシングで全日本ランキング10位以内相当の実績を有する選手であれば、C級を飛ばしてB級プロテストから受験することができます。

ちなみに井上尚弥選手はこのB級プロテストから受験し、相手は現役日本チャンピオン、しかも公開プロテストで相手を圧倒するという異例づくしでした。

プロボクサーの年収は?

プロボクサーにはC級ライセンス(4回戦)、B級ライセンス(6回戦)、A級ライセンス(8回戦)の3つの種類があります。

はじめはアマチュア実績者を除いて基本はC級ライセンスから始まり、4回戦=4Rの試合から行います。

4回戦の試合で4勝すれば、B級ボクサーとなり6Rを戦い、B級で2勝すればA級ボクサーとなり、8R以上の試合を行うことができます。

日本タイトルマッチでは10回戦(10R)、世界タイトルマッチなどでは12回戦(12R)を戦います。

プロボクサーの収入は基本的にファイトマネーとスポンサー収入。

スポンサー収入などはよっぽど有名な選手にならない限りはもらうことができないので最初はファイトマネーのみです。

4回戦のファイトマネーは1試合で約4万円~ほど。

しかも、現金ではなく、多くの場合はチケット払いなので自分が出場する試合のチケットを自分で売らなければ収入になりません。

1年に行える試合は3試合から、どれだけ多くても5試合くらいなので年収に換算しても20万円ほど。。

ボクシング1本で食っていくのは100%無理ですね。

A級ボクサーとなっても年収100万円を超えれば良いほうだと思います。

日本チャンピオンになって、ようやくファイトマネーが100万円前後。

1度でも負ければ王座陥落となるので、当然ファイトマネーは下がりますし、非常に厳しい世界です。

世界チャンピオンのファイトマネー

世界チャンピオンとなれば、ようやくファイトマネーは1000万円を超えていきます。

それでもファイトマネーはピンキリで、人気が無ければファイトマネーは上がらず、世界チャンピオンとなってもバイトを行っている選手も多くいます。

世界チャンピオンとなり、テレビ放映がされると視聴率によってもファイトマネーは上がり、井上尚弥選手クラスの知名度と人気があれば1試合1億円を超えてきます。

軽量級でファイトマネー1億円はかなり破格であり、逆に言えば井上尚弥選手ほどの選手にならなければ1億円ものファイトマネーを得ることはできません。

長谷川穂積選手ですら、全盛期にようやく1億円を超えたという確定申告が話題になっていたのでファイトマネーは1試合3000万円ほどだと予想しています。

日本のプロボクサーでもボクシングのみで生活できている選手は一握りであり、年収1億円を超える選手はほぼいないことを考えると、他のプロスポーツと比較しても非常に厳しい世界だということが分かります。

しかし、井上尚弥選手は2023年はスポンサー収入だけで10億円を超えているようです。

世界で最も稼ぐプロボクサー!

プロボクシングの世界は非常に厳しいですが、世界的にも有名な選手となり人気が出れば、ボクシングの聖地ラスベガスで試合ができるようになります。

アメリカで試合を行うのは大きな意味があり、アメリカのボクシング放映はPPV(ペイパービュー)と呼ばれる有料放送となっていることもあり、ファイトマネーが桁違いとなります。

大金を稼ぐボクサーの代名詞といえば、通称「Money(金の亡者)」と呼ばれるフロイド・メイウェザー・ジュニアでしょう。

プロでの戦績は50戦50勝の世界5階級王者。

2018年にアメリカの老舗経済紙『Forbes』が発表した「世界で最も稼ぐスポーツ選手」ランキングでは第1位。

その時の年収は2億8500万ドル(約313億円)で2位のリオネル・メッシ(サッカー選手)の倍以上の差をつけています。

そして、2015年にも1位となっており、その時の年収は約369億円。

この年は長年対戦が待ち望まれていたフィリピンの英雄マニーパッキャオとの試合がありました。

その試合のファイトマネーは1試合で280億円を受け取ったと言われています。

ちなみにマニーパッキャオもその試合で約184億円のファイトマネーを稼いだとされています。

令和4年現在で最も稼ぐボクサーと言うと、PFP(パウンドフォーパウンド)1位のサウル・アルバレスでしょう。

2018年にDAZNと5年11試合3億6500万ドル(約410億円)の配信契約を決めています。

後にこの契約は意向の食い違いなどによって3試合で契約は終了しましたが、アルバレスは2021年11月6日のIBF世界スーパーミドル級王者カレブ・プラントと4団体王座統一戦で約46億円のファイトマネーを稼ぐなど、現役では最も稼ぐプロボクサーとなっています。

プロボクサーの年齢制限は何歳まで?

日本ではプロボクサーになる年齢制限がプロテスト申し込み時で満34歳と決められています。

プロボクサーとしては、37歳を迎えた時点でプロライセンスは自動的に失効されるようになっています。

しかし、37歳に達してもすぐに失効ではなく、現役のチャンピオンに関してはタイトルを失った時、各種トーナメントで勝ち進んでいる選手については負けた場合という例外もあります。

また、元チャンピオン(日本、OPBF、世界)、世界挑戦経験者、世界ランカー(WBA、WBC、IBF、WBOの15位以内)であれば、コミッション・ドクターの特別診断(頭部MRI、神経学的な診断を含む)をクリアすれば現役続行を許可されます。

2022年現在、日本人プロボクサーでは世界ボクシング機構(WBO)アジア・パシフィック・ミドル級チャンピオンの野中悠樹選手が現役最高齢の44歳であり、日本ボクシングコミッション(JBC)公認タイトルの国内男子王者史上最年長記録となっています。

まとめ

プロボクサーは世界的に人気を集め、トップスター選手になれば、スポーツ長者番付でもトップを狙える夢のあるプロスポーツです。

しかし、それは一握りの選手のみであり、他のプロスポーツと比較すると全体的な収入面においては非常に低いといえます。

さらには30半ばでプロボクシングの世界では高齢という選手生命の短さ、後の生活にも影響するような怪我の多さなど、過酷な世界です。

私自身、夢のプロボクサーとなったものの、スパーリング中に眼窩底骨折・眼球陥没を伴い、後遺症に複視(二重に見える)が残ってしまったことによって、プロデビューの夢は叶いませんでした。

後輩もくも膜下出血で開頭手術して引退、A級ボクサーの先輩も長年のダメージによる右半身に痺れがでるようになり引退しました。

非常にハイリスクな世界ですが、今でも怪我が治るのであれば今すぐにでも復帰して、人生をボクシングに捧げたいと思っています。

そこまで魅力的な世界なので、プロボクシングの世界に興味があるのであれば是非1度挑戦してみてください!

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