ホンダが1991年に販売を開始した2ストローク50ccフルカウルスポーツタイプの「NS-1」通称エヌワン。
今ではほとんど見ることができなくなった2ストロークエンジンであり、しかも原付免許で乗れるスポーツタイプのバイクということもあり、今でも人気が高い車両です。
原付とは思えない車体の大きさと2ストならではの鋭い加速、そして最高速度。。
今回はそんなNS-1を紹介いたします。
NS-1のスペック
NS-1は1991年にホンダから販売が開始され1999年まで販売された水冷2サイクルピストンリードバルブ単気筒エンジンを搭載した50cc原付バイク。
特徴はスーパースポーツのようなフルカウルのレーサータイプでありながらも、メットインが備え付けられていることです。通常バイクのタンクにあたる部分がメットインになっており、容量はフルフェイスのヘルメットが入るほどの大容量です。そして、燃料タンクはテールカウル部分に配置されているという、現在においても非常に珍しいタイプです。
めた、全長が190cm、全高が100cm越えという原付とは思えない車体の大きさも魅力の一つであり、ホンダのNSR50の部品が流用可能なため、純正パーツやアフターパーツ、カスタムパーツなどが豊富な点もNS-1の良い部分です。
メーカー ホンダ エンジンタイプ 水冷2サイクルピストンリードバルブ単気筒 モデル名 NS-1 エンジン始動方式 キック タイプ・グレード – 最高出力 7.2ps(5.3kw)/10000rpm 動力方式 – 最大トルク 0.65kg・m(6.4N・m)/7500rpm 型式 AC12 車体重量(乾燥重量) 92kg 排気量 49cc 車体重量(装備重量) 101kg 発売開始年 1998年 パワーウエイトレシオ 12.8kg/PS 燃料消費率 55.3 km/L ( 30 km/h走行時) 全長・全高・全幅 1905mm × 1080mm × 670mm 燃料タンク容量 8.0リットル シート高 – 航続可能距離 442.4km(概算値) フロントタイヤサイズ 90/80-17 46P 燃料供給方式 キャブレター リアタイヤサイズ 100/80-17 52P
最高速度はどれくらい?
NS-1で気になることが最高速度はどのくらい出すことが可能なのかという部分だと思います。
最高速度は理論上
上記の式でで求めることができます。
この計算式で求めるとノーマルのNS-1で理論上では約82km/hを出すことが可能です。
実際には空気抵抗や路面の状態、タイヤの精度、ライダーの体重などによって左右されるので、上記の最高速度はまず出すことはできません。
さらには、通常60km/hくらいでリミッターがかかってしまうため、リミッターカットしなければ理論上の速度までもっていくことができません。
しかし、最大馬力発生回転数はエンジンを弄ったり、キャブレター、CDI、チャンバーなどの変更によって上げることは可能ですし、スプロケットの丁数を変え、二次減速比を変更することによって、総減速比が変わり最高速度を伸ばすことが可能です。
最高速を上げる方法
◆リミッターカット
最高速度を上げるために最も簡単な方法がCDIの変更。いわゆるリミッターカットです。
CDIは簡単に言うとスパークプラグを点火させる装置であり、ノーマルのCDIではスピードリミッターが付いているため、60km/h以上のスピードが出ないように点火タイミングを遅らせたり、電気信号を止めたりしています。
そこで、社外品のCDIに変更することでスピードリミッターを解除することができます。
さらに、CDIの変更はリミッターをカットするだけではなく、点火特性を変更することによって、ノーマルよりも出力特性を向上することが可能なんです。
要するにCDIの変更だけでも前記の式で割り出した理論上の最高速度を上げることが可能です。
基本的にはボアアップやキャブ交換など、他のカスタムと合わせて取り換えることがおすすめですが、これだけで最高速が100km/h近く出るようになるという声も多いです。
取り付けもカプラーオンで非常に容易です。
CF POSH CF ポッシュ/レーシングC.D.I. スーパーバトル NS-1
◆スプロケット丁数変更
スプロケットの丁数を変更することでも、最高速を伸ばすことが可能です。
スプロケットはフロント側(ドライブスプロケット)とリア側(ドリブンスプロケット)があります。
ドリブンスプロケットは丁数を減らすことで最高速を上げることができ、逆に丁数を増やすと加速力が上がります。
フロントのドライブスプロケットは丁数を1丁変えるだけでリア側よりも特性が大きく変わってしまうので、リア側のほうが調整しやすいとは思います。
ちなみにフロントのドライブスプロケットはリア側とは逆で丁数を増やすことで最高速が上がります。
例えば、NS-1のノーマル状態でのリア側ドリブンスプロケットの丁数は41丁ですが3丁減らした38丁にすることで最高速が約82km/hから約88km/hほどまで上げることが可能です。
フロント側のドライブスプロケットはノーマルで14丁、3丁上げた17丁にすると最高速が約99km/hまで上がることになります。
しかし、スプロケで最高速寄りに変更しすぎると、加速力が非常に落ちてしまうので注意が必要です。
SUNSTAR サンスター/リアスプロケット ジュラルミン NS-1
◆ボアアップ
最高速を上げる最も直接的な方法がボアアップです。エンジンの総排気量を上げてしまう方法ですね。
ボアアップキットなどでシリンダーの直径を拡大したものに交換し、ピストンも交換することで排気量を上げます。
ボアアップをすると原付の制限速度30km/hを守らなくてもよくなる点もメリットのひとつです。
市役所において、改造登録証明にてボアアップしたことを届け出る必要があります。
ai-net アイネット/68.8cc ボアアップキット(46mm) CRM50
◆チャンバーの変更
最高速度目的だけではなく、カスタム箇所としても人気なのがチャンバーの変更です。
最高速よりもトルクアップなどのほうが期待できます。
しかし、チャンバーによってパワーバンドが変わったり、チャンバーの性能を引き出すためにスプロケットの調整や、キャブセッティングが必要になる場合もあります。
まとめ
NS-1は車体数も非常に少なくなり、手に入れることも年々難しくなってきている印象です。
弄れば弄るほど加速やパワーバンド、最高速がすぐわかるくらいに変わっていくので非常におもしろいバイクです。
速度を出しすぎて切符を切られたり、思わぬ事故を起こしてしまう場合もあるので走行には注意してくださいね。